ぽじのうのう

しこうダイニング

プリンからコーヒーゼリーへ

プリンは好きだ。

 

いつからか記憶にないが、子供の頃から好きな、魅惑的なおやつのひとつ。

 

小さい頃はプッチンプリンをいかに上手に出すか、という遊び感覚も楽しみ、何よりあのビジュアルとプルプルツヤツヤでとろける甘さに夢中になったものだ。

 

大人になった今は、どちらかというと硬めで、苦いカラメルソースがしっかりかかっている、素材もシンプルなものが好き。手作り感の強いものの方に、より魅かれる傾向がある。親元を離れるとそういうものなのだろうか。

 

そして、子供の頃は無縁だった苦さの象徴みたいな黒い飲み物、コーヒー。あれはアルコールと並んで大人の飲み物というカテゴライズだったから、自ら手を出すことはなかった。

 

いつのまにやら「コーヒーは夏でもホット、そしてブラック一択」という、そこだけは大人になりきってしまったことに自分でビックリだ。他はさておき、そこだけは。

 

そしてコーヒー味のデザート中でも、苦みで子供の時はハードルが高かったのが、コーヒーゼリー。割とゼリー部分は甘味が少ないものが多く、ミルクと混ぜても若干コーヒーの苦みを強く感じる。アレが子供の時は「別に食べなくていい…」というものだった。

 

美味しく味わえるようになったのも、おそらく成人した後。そもそもコーヒーゼリー自体、店で並んでいても選ばない。人からもらったりして食べると、「あ、結構おいしい」という感じ。私の中では少しよそ行きの味なのだ。そういう意味ではやはり大人味。

 

プリンからコーヒーゼリーへ。

 

これは別に、嗜好が子供向けから大人向け、という意味ではない。実は食べ物の話でもない。ここまで散々普通にそれらのことをつらつら並べて置いてなんだが。

 

髪の毛。

 

そう、髪の毛の話。小さい頃は真っ黒。日本人は基本黒髪だから。

 

そして、いわゆる思春期になると髪を染めた茶髪の人が増える。一昔は茶髪にしただけでヤンキーだの不良だの言われていたが、今は割とおしゃれとして認識されている。

 

茶髪にしても生え際は黒なので、放っておくと髪の色が二色になる。全体は茶色なのに生え際だけが黒い。これを「プリン」と表現するらしい。なるほど。生え際はカラメルソースというわけだ。

 

だが、時が流れると、黒髪種族の日本人の髪もやはり白くなる。生え際だけが白。大抵は白髪染めで抗うと思うが、放っておくとやはり生え際が白くなり、大半は黒い。これは…「コーヒーゼリー」ではないか!

 

しかも、若い頃はお洒落で茶髪にする意味では楽しさが伴うが、白髪の場合はむしろ戦いだ。必死さが違う。黒と茶より、黒と白の方がその差が歴然で目立つから。

 

プリンからコーヒーゼリーへ。

 

甘やかされて好き勝手にとにかく楽しめた、無知で無邪気な子供時代。大人になればなるほど、やはり甘いだけではなくなる。だが、その苦さをも楽しめるのが、大人ってやつなのだ。

 

そして容赦なく領土を拡大してくる進撃のクリームを許容するまでには、もう一段大人の階段をのぼらなければならない。

 

そう、最後に行きつく先は…

 

ミルクプリン!いや、杏仁豆腐か!?

 

どんとこい。どっちも大好物だ。